女性盆栽家の挑戦
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女性たちが運営する盆栽店
はじめる盆栽専門店「盆栽妙」は店長の高村雅子を中心に8人の女性で運営しています。
女流盆栽家 高村雅子
盆栽家として、盆栽妙の店長として、盆栽の楽しさを伝えるべく日々活動しています。30年前から盆栽の道に入り今ではたくさんの盆栽に興味を持った方々と盆栽を楽しんでいます。
盆栽との出会い
はじめた当初は、女性が盆栽を趣味にすることがめずらしい時代でした。ましてやプロとして女性が盆栽職人になるなど想像もできませんでした。
ちなみに、お店の名前の盆栽妙(ぼんさいみょう)ですが、盆栽を趣味として始めたときに、友達から「妙な趣味だね」と言われたことが忘れられず、お店を立ち上げたときに屋号にしてみました。
日本の伝統文化なのになんでみんな楽しさを知らないんだろうと思いながら当時は子育てに忙しく毎日をすごす日々でした。子供が手を離れて自分の時間が出来たのをきっかけにもっと深く盆栽を知りたいと、同郷の職人 太田重幸氏に師事するのですがそのあたりのストーリーは詳しくは高村雅子物語?をお読みください
男社会の盆栽業界
愛好家も圧倒的に男性が多い盆栽ですが、盆栽職人となると女性はほとんどいませんでした。女性の社会進出が進んだ現代でも業界には数えるほどしかいないのが現状です。
盆栽職人になるためには、一般的には、師匠について弟子入りし5年ほどの厳しい修行を経て、晴れて職人としてのスタートになります。弟子の期間はお給料がもらえるわけではないので、強い意志を持っていないと続かないとても大変な世界です。これが女性の職人がいない原因のひとつでもあります。
女性盆栽職人は父親が職人であとを継いだという方が多いです。普通の女性にとって盆栽職人になりたいと思ってもとてもハードルが高いことでした。
市場に出回る盆栽
作り手が男性ばかりだと、市場にでる商品はどうしても男性向けの商品になってしまいます。男性が好む樹の種類や形状、盆栽鉢すら男性的な商品になってしまい、女性の愛好家が増えないという循環になってしまいます。
私が趣味家として盆栽をやっていたときに、こんな盆栽鉢に仕立ててこういう雰囲気でつくるとかわいいのにと思っても、年配の男性愛好家の方からそれは盆栽とは呼ばないと否定されることも度々ありました。
女性が楽しめるように、そんな盆栽があってもいいのではと、仲間を集めるために盆栽教室を開いたのが20年前のことです。
女性の盆栽界進出と盆栽妙のオープン
インターネットで盆栽の情報を発信しだしてサイトへの訪問が増え、どこで盆栽が手に入るのという問い合わせも多かったことから、自分の作品を販売するようになったのが盆栽妙のはじまりです。
通販ということもあって発送のことを考えると小さな盆栽が適していたこともあり、盆栽妙では女性が取り扱いしやすい、かわいく仕立てたミニ盆栽の取り揃え展開していきました。
インターネットが一般的になり、情報が手に入りやすくなると盆栽の女性愛好家も増えてきました。SNSなどでは女性だけの盆栽コミュニティもできるほど女性がやる趣味として盆栽の認知度があがって来たのです。
また、ミニ盆栽がかわいいと女性だけでなくいろいろな方に認知され盆栽妙の担う役割も明確になってきました。
盆栽妙は盆栽界への女性進出とともに大きく成長していきました。
女性だから出来ること
私のそういったチャレンジに共感してくれる仲間が増え、いつしか盆栽妙は女性が中心のお店になっていきました。
子育てで、社会にでれず閉塞感を感じていた経験があったから、子育てしながら働ける会社になろうと思って、事務所内に子ども部屋を作って親子出勤できるようにしたり。
盆栽畑に迷い込んだ野良猫を保護して、会社でみんなでお世話をしているのも女性だからこそ。盆栽という生き物を我が子のように扱うわたしたちにとって野良猫たちは見過ごせないことでした。
今までにない盆栽商品を生み出せるのは女性の視点。大昔に否定され自信をなくしたことはいい思い出。今では自信をもってお客様におすすめします。
はじめてだとハードルの高い盆栽のお手入れのサポートをするのも女性スタッフ。やさしく教えてくれるので色々相談しやすいと評判です。
私たちが社会にできること
盆栽妙では経営理念をみんなで考えて、目標に向かって進んでいます。全国でもめずらしい女性の盆栽屋さん。わたしたちが社会にできることを考え、活躍できるようにこれからも頑張っていきたいです。
女性活躍企業として市より表彰されました。
盆栽界に新風を吹かせたと評価を頂き県より表彰されました。