盆栽とメダカ

盆栽の知識 高村

盆栽とメダカ

「盆栽とメダカ」

盆栽とメダカ、一見つながりがなさそうですが両者は深く結びついています。盆栽はもともと中国の盆景から来ているものであり、自然の情景を小さな鉢の上で表現したものです。
→盆栽の起源について

自然の情景、日本において和の風景に欠かせない水。滝や池、シシオドシに蓮などは日本庭園で見かけることができます。盆栽は鉢の上に自然の情景を表しますが、その周りにもやはり和の風景にはこだわりたい。そういう思いから小さな盆栽の近くに、睡蓮鉢や小さな手洗鉢を置き水生植物やメダカを飼って楽しむようになりました。

盆栽

盆栽は鑑賞をおもに正面からおこないますが、メダカは鉢の上から鑑賞し、背中の美しさを楽しみます。水槽で飼う熱帯魚とは少し楽しみ方が異なります。そういうことからメダカには様々な背中の柄を持つ品種があります。盆栽をより楽しむためにここではメダカについての知識を深めていきましょう。

メダカとは

ダツ目メダカ科に属する体長2~3cm程の淡水魚2種の総称です。。生息水域によって北日本集団と南日本集団に大きく分けられ、そのうちの南日本集団がミナミメダカであり、もう一方はキタノメダカと呼ばれています。

その学名は「稲のまわりにいるヒレ(足)の広い」という意味のOryzias Laptipesになっていて、英名でもRicefishと呼ばれるなど、日本の原風景との関係は深いです。

メダカ(目高)という名前は大きな目が頭の上端から飛び出していることに由来していてます。淡水魚であるメダカですが、腎機能が発達していて塩分に強いので、徐々に塩分濃度の高い水に慣れさせるとなんと海水(塩分濃度3.5%)でも生活できるようになるのです。

一見するとひ弱に見えるが実際は環境適応能力が優れており、とても丈夫です。他の観賞魚とくらべても比較的飼育しやすいことから、金魚と同様に昔から日本人に親しまれてきた。そのためか品種には474もの地方名がつけられています。

かつては小川にごく普通に見られたメダカの群れが1980年代から減少し始め、今ではなかなか姿を見られなくなりました。2005年3月には環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種として指定されこれがメディアに大々的に報道されたことでメダカを保護しようとする動きは活発になったが、遺伝子汚染という新たな問題を引き起こしてしまっているのが現状です。

盆栽

メダカの体

メダカの体に関するデータです。普段何気なく見ているメダカですが、けっこう特徴的だったりします。

全長は3.5cm~4.0cm
メスがオスより大きい。

口 ― 大きい。水面のエサを食べるために上向きに付いている。
目 ― エサと外敵を見つけやすいように上向きに付いている。
感覚器官のみぞ ― 敵の動きや水の動きを感じ取る。
えら ― 蓋が呼吸に合わせて開閉する。水中の酸素を吸収する。水と一緒に入ってきた余分なものを除去する働きがある。
背中 ― 他の小魚とくらべて平らになっている。
背ビレ ― 水中で姿勢を安定させる役割。オスはギザギザ、メスは丸みを帯びている
尾ビレ ― 泳ぐ時の推進力になる。
尻ビレ ― 舵の役割。オスとメスで形が違う。
胸ビレ ― 左右に一対ある。泳ぎ始める時、止まるとき、方向転換で機能する。
腹ビレ ― 体を平行に保つ役割。

メダカの暮らし

それではメダカはいったいどのような暮らしをしているのでしょうか。人間と同じで日が昇れば起きて活動し、日が暮れると眠りについています。魚も寝るんですね。驚いたことにこれはメダカに限ったことではなくて一生泳ぎ続けると言われるマグロでさえ実は夜になると眠っているようです。ただ、メダカにはまぶたがないので眠っていても目は開いたままになっています。

メダカの一生ですが、春に水温が上がると1.5mmほどの卵を毎日3~10個産む。約10日から13日で卵が孵り、それから約3~6ヶ月で成魚になる。秋から冬はほとんどエサも食べず静かに過ごす。うまく飼うとこれを繰り返して2~3年程生きるようです。寿命はとても短いのですね。盆栽には永遠の命がありますが、そのメダカのはかない命の中で輝く姿が日本人に好まれるのかもしれません。

メダカの成長は孵化して1~3日:ヨークサックというお腹にある袋に蓄えた栄養で成長する。エサは食べない。孵化して7~14日:この時期は針のように小さいので針子と呼ばれる。孵化して1~3ヶ月:この頃からだんだんと形がメダカらしくなってくる。3ヶ月ごろには体型やヒレの形も立派になり、メスの体では産卵の準備が始まる。

メダカの種類

最後にメダカの種類ですが、ホームセンターやペットショップでいろいろな品種が販売されています。盆栽に合うメダカとかはありませんが、私のおすすめは楊貴妃と呼ばれるメダカですね。透明感のある鮮やかな朱赤が魅力で、盆栽と交互に鑑賞していつも癒やされています。

でも好みだと思いますのでいろいろ見て気に入ったのを買ってみてくださいね。

【幹之(みゆき)メダカ】
普通体形で背の部分に虹色素胞があり、綺麗に線状に光る。
作出者の娘の名をとってみゆきメダカになった。

【螺鈿光(らでんこう)メダカ】
背中の光は斑紋。
メスが多く生まれ、オスが生まれてくる確率は10%程度。

【パンダメダカ】
虹色素胞がないためパンダのように目の周りが黒くなり、体に光沢感がない。
黒の範囲が広いほど価値があるとされる。

【出目メダカ】
口から目までの長さは短く、出目金のように目が横に突出している。
出目メダカ同士の交配でも出目が遺伝するのは多くても50%程度。

【朱赤透明鱗(しゅあかとうめいりん)メダカ】
白色の体に赤の色素がある紅白メダカとそれに黒のブチが加わった錦メダカの2種類。
鯉のミニチュアのような見た目。

【ラメメダカ】
虹色細胞の一部がラメのように光る。
星空のような見た目から「銀河」と呼ぶこともある。

【目前メダカ】
ポニョのような可愛らしい見た目。
貴重なので値段は高めだが飼育は難しくない。

【ピュアブラックメダカ】
体色が純黒でどんな環境でも体色は変わらない。
スモールアイなので飼育や繁殖はとても難しい。

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この記事を書いた人

高村雅子

高村雅子
盆栽妙の店長 盆栽家。三重県鈴鹿の田舎生まれ。大学進学を機に大阪に出て卒業後は秘書として企業で働く。結婚して退職、子育てに奮闘。子供も大きくなり、自分の時間が持てるようになったので、かねてより大好きだった植物をもっと勉強するべく、盆栽の世界へ踏み入ることに。同郷の盆栽職人 太田重幸に師事し、盆栽の奥深さを修行した後、自宅で教室を開業。2007年にインターネット盆栽販売店 盆栽妙をオープンし、盆栽メルマガ登録数日本一に。盆栽はじめるサポートに日々奮闘中。
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