国分寺盆栽を作り上げた 生ける伝説 慶松園

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国分寺盆栽を作り上げた 生ける伝説 慶松園

地域と盆栽振興の世話役

盆栽教室での指導役を務めるなど、盆栽の普及に尽力。針金かけの名人としても知られる吉原雅韶さんにお話を伺いました。

地域と盆栽振興の世話役

慶松園の黒松

国分寺地区の盆栽園はJR予讃線より北に密集していますが、「慶松園」は国道11号線より南にあります。 自動で水やりのできる装置を備えた600坪の棚場が、国道北側にもあります。

園主の吉原雅韶さんは、町会議員や国分寺盆栽部会の部長を務めてきた地域の世話役。国分寺グリーンフェスタの開催、15年の歳月かけて誕生した錦松の新品種「夢錦」の開発費の調達、国体開催時に盆栽を記念品に推すなど盆栽振興に力を尽くした人です。

針金掛けの名人としても名前があがり、盆栽イベントの針金掛け教室などでも指導をしてきました。

針金を巻いて整枝剪定する

吉原雅韶さん

針金かけ

こちらでは、針金掛けを施し育てた盆栽を年間250鉢ほど販売。昨年購入した五葉松300本は、今秋から針金を掛けて作り込み、盆栽センターに出す予定です。 作業場の壁には太さの違う針金が8種類。鉄線だったのが銅線やアルミ線に、針金素材も時代で変化してきました。吉原さんは鍛冶屋に作ってもらった幹や太い枝を曲げるオリジナルな道具も駆使し、樹高70ほどの松に迷いのない動きで針金を掛けていきます。

人の手ならではの個性的な技

黒松
「同じ形の樹はない。1本1本違う。人と一緒」と笑いつつ、針金を掛ける手は止まりません。「だから、盆栽の針金掛けは機械ではできない」ときっぱり。 「養分はまず木の一番上に行き、残ったら下におりてくる。ねじれるように流れていくので、枝の曲がりやすい向きがある。それを手の感覚で確かめながら巻いていく」と名人技を伝授。巻いた針金はだいたい2〜3年で枝に食い込み、食い込み始めたら針金は切って外します。こうして枝を成形していきます。 盆栽はできるだけ樹形に自然さを表します。枝をどの向きに曲げ、どちらに伸ばすかに個性が出るため「整枝剪定を見るとだいたい誰が針金を掛けたかが分かる」と言うから驚きです。

直感でいい木に出会える

吉原さんは、盆栽の正面の見分け方や樹形構想なども惜しげなく教えます。「初心者は盆栽センターに行くといい」とアドバイス。「値段もハッキリしているし、直感で『いいなぁ』と感じる『生命感』の前で自然に足が止まる」と言います。 「手入れのコツなど、聞きたいことがあったら電話して下さい」。盆栽の名人は皆さん気さくで、オープンです。

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この記事を書いた人

大西真子

大西真子
盆栽妙スタッフ。モノを育てる・増やすのが好きで、メダカや菌類を増やすのが趣味。盆栽初心者で入社し、今では盆栽と苔の世界にハマる。現在は挿し木と苔テラリウムについて日々勉強中の二児の母。
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